名言4

「もう藤波とやるのは嫌だ。いったい何回やらせれば気が済むんだ!」

レスラーとフロントは、常に利害が相反するケースが多い。当然、客が入るからといって何の脈略もなくカードを組まれることを、レスラーは極端に嫌う。名勝負数え歌の後期はまさにフロントが主導となったものだった。相手が生涯のライバルとして認める藤波だからこそ、一戦ゝゝを大事にしたい、その心情を泥靴で殴るような仕打ちに感じたのだろう。後に天龍が全日を離脱した理由の一つに「鶴田とのシングルを、興行ベースで安易に組まれた」ことを挙げていたし、86年頃の前田も藤波とのシングルについて、「昔の藤波vs長州戦のように、客が入るからという理由で組んで欲しくないよね」と、語っていた。レスラーとは、かくもデリケートなものなのだ。